工作室
当工房で製作したモデルや作業のご紹介です。

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Hispano Suiza8A 180Hp (RAF SE5a エンジン編) 1/8 scale
 数十年前に頃購入したままだったHasegawa製の1/8スケール、
RAF SE5a戦闘機(WW1の複葉機)
のキットを組み立てる
ことにしましたが、肝心のエンジンの表現がシリンダー部
分とマグネトーのみなので、まずエンジンを製作することに
しました。
 エンジンをHispano SuizaにするかWolseley "viper"にす
るか迷いましたが、Hispano Suizaの図面があることと、
キットのマグネトーの構造がRodenの1/32キットHispano-
Suizaエンジン
)とほぼ同じだったので
キットに搭載するエン
ジンを
Hispano Suizaにすることにしました。
※ハセガワのキットはシャトルワースコレクションのF904
がモデルだと思われるのでエンジンはWolseley "viper"
200HP
ということになります

Hispano SuizaWolseley "viper"ではオイルサンプの
形状下部ドレイン部などが違います

 エンジンの寸法についてはScale Aircraft Drawings
volume 1
ISBN:0-911295-02-X詳細が載っていた
ので"Model E "(180HP ダイレクトドライブ 大型キャブ)
を参考に模型制作用の図面を描きました。

HISPANO SUIZA8A Model E
 MAGNETO
OIL SCAVENGER
PUMP UNIT
CARBURETOR & INTAKE
MANIFOLD ASSY
ベース板にハンダ付けしたクランクケース下側
木型と組み上げたクランクケース下側
打ち出し後
1mm厚の銅板
クランクケース下側(オイルサ
ンプ
)の打ち出し作業
 クランクケース下側(オイルサンプ)側面の打ち出しは、焼きなました銅板を木槌で型板に合わ
せてR部分を打ち出し成型していきます。これを4〜5回繰り返し、成型します。
 ※途中、成型具合を確認し型板の修正を行いました。

 打ち出した左右の側板を組み合わせるために、接合部分の摺り合わせを行います。
    
下部クランクケース
打ち出し用型板、押板
    
クランクケースのベース
(左)上部(右)下部
    プランB
クランクケース(下側)の展開図
1.クランクケース下側(オイルサンプ)
 エンジンの製作はクランクケースから始めます。実機のクランクケースは上下に分かれて
いますが、モデル化でも同様に上下2つの部分に分けて板金加工しますが、クランクケース
の先端は引き物で製作します。上下それぞれクランクケースの接合面(リブの部分)をベースに
板金部品を組み立てます。
 クランクケースの下側(オイルサンプ)は、
A クランクケースの側面を打ち出しで成型し、底面部分の板金と接合する 
B クランクケースの全体の展開図を作成し箱曲げ的に作成にする
の2通りのプランで検討しました。

 まずAプランで進めることにし、堅木(栗材)で型板を製作します。
板金の素材は1mmの銅板です。
冷却水ポンプ
オイルフィルタ
ドレンプラグ
冷却水ポンプ
 冷却水ポンプのケーシング部分は2mmの真鍮板を貼りあわせ、ヤトイ仕事で円盤状に切削し、
先端部分は真鍮丸棒をテーパー状に削りだしました。冷却水ホースの接合部分は、3mmの真鍮パイプを
使用しました。
 ドレンプラグとオイルフィルタは2mmのネジ止めで本体に取り付け、ケーシングとパーツの基部は
ハンダ付けで穴埋めしています。
冷却水ポンプは後部ブロックに2mmのネジで固定されています。
後部ブロックの 
口金類  
冷却水ポンプ  
 ドレンプラグ 
 オイルフィルタ
クランクケース下側と取り付け部品
 型板を使っての比較的厚い銅板の打ち出し作業は今回が始めてでしたが思ったほど難しくなく、
成型はスムーズにできましたが、先端部分の引き物との接合部分の微妙なカーブの成型のために新た
に総形の木型を製作しました。

 左右の側板の成型ができたら、左右の側板を底部分で銀ロウ付けして結合します。銀ロウ付けによる
加熱でクランクケースに歪ができたので、ベース部分を仮組みして狂いを修正しました。
 この後、底板部分や部品の取り付けのためにハンダ付けしますが、銅版は熱伝導率が高い上に
材料の熱容量も大きいのでハンダゴテでのハンダ付けはとても困難で、底板などを取り付ける順番に
苦労します(バーナーを使うことなりました)。当初、深絞り的な銅板の打ち出しは皺が大きくなり
その除去が難しいのではとの推測で板金の構成を側板と底板の三枚はぎで設計しましたが、結果的には
左右2枚の構成でクランクケース中央で接合する方がベターだったと思います。

 この後
組み上がったクランクケース下部(オイルサンプ)をベース板にハンダ付けします。

 クランクケース後端にはマグネトーを取り付けるためのアングルが取り付くので、そのためのブロ
ックを取り付けます。材料の都合や設計の変更などでクランクケース底面
の後部分が未着手だったので、
これもついでに作り込みます。次に、クランクケース下部の後ろ側に、オイル配管や冷却水ポンプが
付くブロック(実際はクランクケースと一体)を作り込みます。材料は簡単な曲げ加工のみなので、
0.3mmの真鍮板とR部分のガイドにする1mmの真鍮板を組み合わせて作ります。
 組み上がったらクランクケースにハンダ付けします。これでクランクケースの大体の形ができあがり
ました。

 後は、クランクケース前面にオイルフィルタと底面にオイル配管を兼ねたドレンプラグをつければ、
下側のクランクケースは完成です。

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 シリンダブロック冷却水ジャケットの作成手順の検討をしている合間に
クランクケースの塗装をしました。
  上側下側とも下地にエッチングプラマーとサーフェーサーを吹きつけました。
シリンダブロックは黒色、それ以外はシルバー(アルミ色)
を吹きつけました。
塗装した状態

プロペラシャフトを取り付け
 切断
 シリンダ
   下部
 リブ
 クランクケース上部の基礎が出来上がり、
後はこの上にシリンダ部など部品を取り付ける
ことになります。
 この段階で、プロペラシャフトを挿入する
ための軸受けが挿入できるるように、ベース板
を切断しておきます。
クランクケースの上部と下部を結合した状態
リブの数は半数に省略しています。
マウント部分のリブ表現を除いて
ほぼ完成のクランクケース上側基部
シリンダブロックの構成
アーチ部分をハンダ付けしたクランクケース上側
 この後、前側には1mmの焼鈍した銅板でテーパー部分を、後の半円状の部分は0.5mmの真鍮板の
板金加工し取り付けます。またディスク状のてっ辺部分と全体の整形をします。
 先端のテーパー部分は型紙を作って材料を切り出しました。
 ディスクのてっ辺部分の板金加工は1mm厚の真鍮板を円筒形に丸め、切り出しました。
歪部分を修正
クランプで固定しバーナーで加熱
ハンダ付け
クランクケース上側のアーチ部分
(ディスクは仮止め)
 シリンダ下部は、直径が15mmですが、適当な材料がないので、14mmのアルミ材を削り出したものに
パイプ(鉄)を被せて15mmとし、直径20mmのフランジ部分は0.5mmの真鍮板から切り出したものを
シリンダ部に嵌め込む形で構成しています。フランジ部分のボルトは省略しました。
 シリンダ下部の上にシリンダブロック(冷却水ジャケット)が取り付きますが、クランクケース
内側からシリンダ下部を貫通する形でネジ止めします。
   クランクケースの図面
Scale Aircraft Drawings volume 1」より
2.クランクケース上側(シリンダベース)

 クランクケース上側はシリンダー、冷却水ジャケット、キャブレターなど色々な部品を取り付ける
必要があるので、どのような構成や手順で組み立てるか、試行錯誤しながらの製作になります。

 クランクケース上側は半円形のアーチ上で、上側にシリンダベースを形成するフランジ状の出っ張り
が45度の角度で付いているのが実機などから見て取れます。このような形状を板金加工で製作する
とすると、半円形に曲げ加工した板に45度の角度で穴加工することになり、その工作は悩ましい所です。
できればそのように作りたかったのですが、Scale Aircraft Drawingsvolume 1図面では
矩形の形状でしたので、今回は加工のしやすさもあり、図面に従って矩形の形状にすることにしました。
 矩形の部分は0.3mmの真鍮板を矩形に曲げ加工したものと、両端の1mmの矩形の型枠で構成します。
この基部の45度の面にシリンダの取り付け面となるプレートを1mmの真鍮板で表現します。

 組み上がったアーチ部分をクランクケース上側のベースにハンダ付けします。

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